【泣ける話】おばあちゃんの紙おむつ

おばあちゃんのこと。

外出先でこけて頭から血を流して倒れている所を発見されて、救急車で運ばれて腕を骨折していることがわかってそのまま入院。

痴呆症で病院内を徘徊するからって、手足をベッドに縛られていたのを見た時はさすがに頭に血が昇ったけど、

「仕方がないじゃないですか! それともお宅で面倒みますか?」

って言われて、やっぱり面倒見られないってそのままほおっておいてしまった。

今まで(何度か粗相はあったものの)トイレに行っていたのに、「面倒だから」という理由で寝たきり&オムツにされてしまった。

数ヶ月が過ぎ、そんなに遠くない場所にある病院なのに、なんだかんだと言い訳をしながら顔を出すこともしなかった。

なぜかおばあちゃんは死なないって勝手に思っていた。

ある時、久しぶりに病院を訪ねた。オムツがないから持って来るようにと連絡があったから。

いちいち持って行くのが面倒くさいと思って、2パックまとめて持って行った。

久しぶりに見るおばあちゃんはお昼間なのに眠り込んでいた。看護婦さんは起こそうとしたけれど、「別にいいです」って断った。

わざわざ起こして、収拾のつかない会話をするのも面倒だと思ったから。

その数日後、朝早くに父が私の身体をゆらして「おばあちゃんがあぶないらしいから病院に行ってくる」と言った。

私は半分寝ながら「はいはい」と適当に返事をした。

約1時間後、「おばあちゃんが死んだ」と父から電話があった。

父達が駆けつけた時はすでに心臓が停止しているようなもので、無理やり心臓を動かしていたらしい。実質的には、誰も死に目に会えなかった。

お金がない私たちには、お葬式をあげるお金もなかった。

でも、何もせずに送るのはどうしても嫌で、借金してお棺とお坊さんだけお願いした。

いわゆるお葬式はできずに、本当に家族(父、叔父、私、私の娘)だけで、焼き場にお坊さんをよんでお経をあげてもらった。

本当はそれだけだったんだけど、お棺を用意して下さった業者さんがお花も断った私達を見かねてか、お棺に入れるお花を用意して下さった。

お棺にお花を入れながら、化粧したおばあちゃんの顔を見たら涙がとまらなかった。

お骨はぼろぼろになっていた(かなりの年だったし)。腕の手術の時に入れられた金属が一番目立っていた。

病院に行って病室の片付けをした。あけたばかりの紙おむつパックと新品が一つ。

「病院でつかって下さい」と言うと、「ありがとうございます」ととても喜ばれた。

病院を後にして、家に帰って泣いた。

大量の紙おむつは不義理の証だったから。何であの時、起こして話をしなかったんだろう。何で面倒くさがらずに病院へ行かなかったんだろう。

もうどうする事もできない。

たまに娘が天井を指差し「ばーちゃん」と言う。

笑顔で話しかけている。娘と話している時はなぜかボケていなかったおばあちゃんは今でもここにいるのだろうか。

1年経った今でもおばあちゃんの事を思い出すと泣いてしまう。

長文しつれいしました。